闇の子供たち (幻冬舎文庫)梁石日 ¥ 720 通常24時間以内に発送 ★★★★ |
闇の子供たち (幻冬舎文庫) | |
| 本作を映画化したものを観て、あまりの衝撃に帰りに本書を手に取りました。 映画の方が奇麗に纏まった物語のように感じましたが、 本書はストーリー運びが荒々しく、原作ならではの読み応えがありました。 以前、「少女売買」という書物を読んだときにも、その内容に驚きましたが、 少年少女関係なく実の親に売り飛ばされ、しかもエイズで死ぬか、 玩具あるいは臓器として売られるかするまで開放されないとは、 あまりにも酷い話です。 でもこういう不条理なこと、きっと本当にあるんでしょうね。 「カラマーゾフの兄弟」に子供が惨殺される話が出てきますが、 ドストエフスキーがこの話を知っていたとしたら、 きっとその物語に取り上げたのではないか、と思いました。 こういう子達の苦しみも、「真理を買うために必要な苦痛の総額の足し前」なのかと。 映画を観てから、 原作を読みました。 リアルで、 生々しい描写が、 読む側に迫ってきます。 前半では、タイの幼児売買、幼児売春の実態を、 後半では、それに関わる二人の日本人を描いている。 フィクションには違いないが、 しかし、 ここで書かれている社会背景、 ... | ||
Y十M(ワイじゅうエム)~柳生忍法帖 11 (11) (ヤングマガジンコミックス)せがわまさき 山田風太郎 ¥ 560 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
Y十M(ワイじゅうエム)~... | |
| せがわまさき流・風太郎『柳生忍法帖』の最終巻。前巻では、囚われの十兵衛にストーリーの停滞を感じてやきもきしていただけに、このエンディングは、久しぶりに息を吹き返したかのよう。爽やかな解放感があって、駆け足のストーリーとはいえ、好感のもてるものでした。十兵衛の惚れ惚れするような男っぷりはそのままに、ストーリーを結末へと導いた作者の手際に、拍手。 絵的には、相変わらず、人物の瞳の入れ方がいいですねぇ。作者の『バジリスク』もそうだったけれど、なんとも言えない妖しさと切れ味があって、彼らの瞳、視線にぞくぞくさせられます。あと、上から見下ろす構図に、独特の旨味があるなあと。斜め上、あるいははるか天空のアングルから人物を見下ろした鳥瞰図的な絵に、まるで鷹になって出来事を見ている気分になりました。 鳥といえば、「ホーホケキョ♪」の七郎の登場も嬉しかったなあ。あれ? でも、七郎も隻眼でしたっけ? い、いつの間に・・・・・・。今、第9巻をぱらぱらと見返して、「あ。もしかして、この場面でかな?」なーんて当たりをつけたところであります。違ってるかもしれないけれど。長い長い復讐行も最終局面、いよい... | ||
バガボンド 28 (28) (モーニングKC)井上雄彦 吉川英治 ¥ 560 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
バガボンド 28 (28)... | |
| 前巻までの地獄のような戦いを終えた武蔵を待っていたのは、沢庵からのキツい問いかけ。夢に見たおつうとの再会の喜びに素直に浸ることもなく、体の傷も癒える前に役人に連れられていく。それにしてもこの役人、70人を斬った者を捕まえに8人で来るとはあきれる。小次郎と辻風黄平とのからみ、又八の語り、全国を駆け巡る武蔵の噂に反応するつわものたちなど前巻までとはうって変わっての展開の早さ。ドラマチックで引き込まれる。前巻までと打って変わった静かな進み方。 常に代わらない小次郎の姿が物語を引っ張っていますね。 戦い傷ついた武蔵は立ち止まることを余儀なくされ、 自分の求めることをもう一度考え直す。 進んでは考え、気づいては迷い、 登場人物は常に自分の生き方に自問自答を繰り返す。 より高みを目指し、理想を問い続け進む武蔵の姿に、 いつも作者の漫画と向き合う姿がかぶってきます。 新しい筆づかい、求める作品を目指しもがき、 絶対にとまることがない作者の姿に、 描かれる物語と同じくらい心を動かされます。 さらに、巻を増すごとにどんどん素敵になる小次郎! 言葉を使わない小次郎の姿は、 やはり言葉では言い表せな... | ||
アカペラ山本文緒 ¥ 1,470 通常3〜4日以内に発送 ★★★★★ |
アカペラ | |
| 体調を悪くなされて、しばらくかいていなかった山本さんの6年ぶりの新作です。 3編とも静かに生きている人の物語。共通して感じるのは「家族の温かさ」。 きっとこれは数年間の苦しい日々の中で、山本さんが自分の経験として感じ得たものなのしれません。 地味なように見えるけど、自分の力で生き抜いているえらい人たち。 登場人物のすべてが抱えているやりきれなさがジーンとしみてきます。 本の帯に≪待望の復帰作にして最高傑作!≫と書いてあるけど、 これを傑作と言ってしまうなんて作家・山本文緒に対して失礼ですっ! この数年間の苦しい日々で得たものによる新しさも見えるけど、 これまで光っていた山本さんの苦みのある持ち味は軽減してるように思います。 今作はまだリハビリだと思いたい。次回作も待ってます。過去の山本作品を凌ぐものであると思った。これだけの作品を書いてきて、なお、新しい世界に触れることができていると思う。人間関係が希薄になったと云われる時代において、あたらしい形を模索している三つの作品。問題の提起の仕方に著者ならではの感性で切り込めているあたり、これからの作品も読み続けたいと思えた。 | ||
沈まぬ太陽〈3〉御巣鷹山篇 (新潮文庫)山崎豊子 ¥ 700 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
沈まぬ太陽〈3〉御巣鷹山篇... | |
| 毎年、8月近くになるとどうしても思い出す日航機事故。事故に関しては、いくつも本が出ていますが、それでもこの本は、事故を無視できない人は読むべきです。他の究明本にない、独自の視点がいくつか盛り込まれています。著者の本は、どれもそうですが、事実に裏づけられた迫力に脱帽です。この作品は、取材した事実に基づき、小説的に再構築した作品である、 という事になっている。しかし、航空史上最大のジャンボ機墜落事故の 克明な記録として、遺族の遺体確認や補償交渉のリアリティー、生々しさ には圧倒される。作者の詳細な取材力には感心する。 しかし、もっとも心を打たれたのは、迷走する飛行機の中で家族に向けて 書かれた遺書を読んだ時だった。百万の言葉を弄するより、手帳に書か れた短い文章の中に家族への思いや無念さが伝わって来る。 JALをモデルにしたと思われる「沈まぬ太陽」は日本の航空業界、労働争議、会社社会というものを考えさせられるものでした。とくにこの第3巻は、物語の中心となる御巣鷹山事故編で、その臨場感におもわず、泣きそうでした。小説はあくまでフィクションなのでしょうが、綿密に取材された描写は真に迫ってお... | ||
最後の親鸞 (ちくま学芸文庫)吉本隆明 ¥ 1,050 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
最後の親鸞 (ちくま学芸文... | |
| 現代に「悪人正機説」がなぜ流行るのだろう、 という問いと、そもそも「悪人正機」とは何か、 という問いを持って、本書に向かいました。 親鸞が生き、活動した時代の貧困と混沌の在り様、 悪行を選ぶか死を選ぶか、という程 ひっ迫した状況にあった多くの民が、 愚僧と自称する親鸞の信心に出会うことによって救われた事実が 本書にはつぶさに記されていて、 私は得心が出来、感銘を覚えました。 著者が試行した、親鸞における〈信〉の解体は、 ある意味では大いに成功を収められた、と言えるでしょう。 しかし、結論として、親鸞を、信心よりも思想の人とみなされたところには、多少の違和感を覚えました。 最後まで〈信〉に迫る親鸞の気迫を、感じたかった、というのは、 私の我儘でしょうか? 法然と親鸞の違いは、たぶん<知>(「御計」)を どう処理するかの一点にかかっていた。 法然には盛遂できなかったが、親鸞には成遂できた思想が <知>の放棄の仕方において、たしかにあったのである。 悪人こそが救われるべき存在であるという「悪人正機」。 「ただ念仏をとなえるだけでいい」。 吉本は、親鸞とその師である法然との 微妙... | ||
悪人正機 (新潮文庫)吉本隆明 糸井重里 ¥ 540 通常3〜5週間以内に発送 ★★★★★ |
悪人正機 (新潮文庫) | |
| ビートたけし・泉谷しげる・吉本隆明。この3人は東京下町育ちで、塗装業、大工、船大工という職人を父に持ち、そろって下町言葉を捨てず、並外れた業績をなしても庶民感覚を失っていない人たち。本書も糸井重里のインタヴューに答える形で、知の巨人だというのに生活レベルで喩えを持ち出すので、思想というより人生訓という感じがして好感を持てる。 吉本の著書は若いころはがんばって読んだものだ。著述には文章執筆の気負いと精確さをねらうのと思索の現場というものがめ込んであってかなり難解なところがあったものだ。 この本によって吉本とひさしぶりに再会してみれば、それら著書の現在的な結論が簡潔的に述べてあって、彼のこれまでの営為が分かりやすく俯瞰できた。その中には感覚的な表現も混入してあって、それは懐かしいかつての著書へリンクすることがまかせられていて、それなりに読み応えがあった。 すごいな、と思ったのは、高齢になっても若いころの自分の著述してきたことをしっかり覚えていて責任を持っていることだ。 オウムや黒田寛一など危ない名も出てくるが、こういうことには感覚的な嫌悪感など持ち出さず謙虚に、真摯に取り上げて... | ||
沈まぬ太陽〈2〉アフリカ篇(下) (新潮文庫)山崎豊子 ¥ 700 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
沈まぬ太陽〈2〉アフリカ篇... | |
| パキスタン、イラン、ケニアと、恩地の海外たらい回しの旅は続く。 組合の副委員長として共に闘った同期の行天は会社側に寝返り 順調に出世を重ねていく。 そんな中、1972年に国民航空の旅客機がニューデリー、ボンベイ、 モスクワと連続して事故を起こす。事故調査班として現地に派遣 された国民航空社員の苦闘が書かれる。 しかし、事故原因をパイロットのミスとする社員の考えは無視され、 会社には空港設備の不備であるとの報告が出される。また、事故 原因調査に同行したパイロットが、同じパイロット仲間を擁護する ため、自分の目で見た事実を信じず、執拗に仮定の想像を繰り返し、 空港設備に責任を求める姿にはあきれてしまった。 このような体質が、日本航空(作中では国民航空)123便墜落事故 に繋がって行ったのではないだろうか。 やて、恩地に日本帰国の話が出てくる。しかし、それは会社側が 折れた訳では無く、連続事故の背景に国民航空の労使関係が影響 しているのではないかと国会で追及されたからであった。会社として は、更なる僻地へ追いやる計画もあったようだ。 家族との別れ、出世を重ねるかつての仲間、海外で... | ||
沈まぬ太陽〈1〉アフリカ篇(上) (新潮文庫)山崎豊子 ¥ 620 通常24時間以内に発送 ★★★★ |
沈まぬ太陽〈1〉アフリカ篇... | |
| 1巻〜3巻まではもう引き込まれるように読み耽りました。 特に3巻(御巣鷹山編)は圧巻で涙なしには読む事が出来ません。 そこで改めて、あの事故についてもっと知りたくなりいろいろと検索してみました。 この本の事も色々と書かれていましたが、 一番驚いたのは現実の主人公は一切この事故とは関りあっていない、という点でした。 実際の主人公は、「ご遺族との交渉係」を担当するどころか、 あの事故の翌月に自ら希望を出してアフリカへ戻っていたとの事で… もちろんこれは小説ですから、恩地自身があの事故やご遺族と関わりあっていかないと成り立たないのでしょうが、 物語の核といってもいい部分がフィクションなのはちょっとがっかりです… ましてや、自分で希望を出してアフリカへ戻ったという事実。 この他にも、「実像とはまったく違う」といった反論なども多数ありましたが、 その意見が正しいのか、この本で描かれていることが正しいのか、私にはわかりません。 日航自体が大きな問題体質を抱えていた企業である事や、 労働組合に対する不当な圧力や仕打ちがあったのも事実なのでしょうが、 あまりにも「主人公=善」と描かれすぎている... | ||
三国志〈1〉 (吉川英治歴史時代文庫)吉川英治 ¥ 798 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
三国志〈1〉 (吉川英治歴... | |
| 若い頃は、三国志などを読んでもあまり興味が湧かなかったり、 世の中が十分に理解できていなかったこともあり、それほど面白いとも思わず、 1巻の桃園の巻まで読み切ったところで止まっていたが、 大人になって世の中がよく理解できてきた今読めば、とても理解できるし面白い。 劉備が世の苦しむ民衆を救わんと、義兄弟の契りを結び、張飛と関羽を従え兵を起こす。 ところが、戦功を上げても愚かな人々の前に地位もろくに与えられず、ただ戦場を放浪するのみで、2巻の初めにやっと平原の相(しょう)という地位を得る。 その後、曹操、孫権、と並び、三国(魏、呉、蜀)のトップにまで上り詰める彼と三国の運命とは・・?父が持っていたい旧かなづかいの同書を2回読んでから30年近くがたち、今回現代かなづかいのものを購入して読み出しました。 劉備が黄河の流れをみつめているシーンやせっかく母のために手に入れた茶を母が川に投げ捨てるシーンなどは明確に覚えていましたが、都が混乱に陥るストーリーなどはすっかり忘れてしまっていました。 以前読んだのが旧かなづかいのものであったこともあり、今回購入したものが非常に読みやすく感じ、あっとい... | ||
バボンド 27 (27) (モーニングKC)井上雄彦 吉川英治 ¥ 550 通常24時間以内に発送 ★★★★ |
バボンド 27 (27) ... | |
| 井上雄彦さんの絵はすばらしい。 原作を超えている。画像がよいのでつぎつぎに買ってしまう。 武蔵にバガボンドとつけたネーミングも良い。 これから終局までいったい何冊でるのであろうか。 21世紀武蔵はあんがいこころが優しくて、荒れ果てた東京に住む我々の こころにいや全国の人のこころに小さなともし火を置いてくれている。 ちいさな熱はやがて心を溶解させて、良き人がふえるとうれしい。 ぜひお読みください。バガボンドは毎回楽しく読ましていただいているけど、今回の巻は自分的にあまり好きではない。 なんというか、気安く人を殺しすぎる。人を殺すということの重さというものが表現しきれてなくて、ただ単にヒーローが敵をばっさばっさ殺してるだけな気がしてならない。 これじゃドラゴンボールみいなのと変わんなくて、バガボンドらしさというのがあんまりでていないなぁと思った。 個人的ではあるけど、あんまり作者の気持ちみたいなのが感じた気のしない巻に思えた。吉岡一門の侍魂を忘れた 多人数による復讐も佳境 武蔵の奇襲によりのっけから足元をすくわれた一門は残りわずか 死んだフリ作戦に武蔵は気づくのか? 自分の刀をも... | ||
さよなら渓谷吉田修一 ¥ 1,470¥ 2,930 ★★★★★ |
さよなら渓谷 | |
| 「悪人」が衝撃的だったので、楽しみでもありつつ、「でも二番煎じになるのでは?」と過度な期待はしていませんでしたが…、ぐいぐい引き込まれ、一気に読み上げました。 幼児殺人事件をきっかけに、過去の集団レイプ事件を紐解いていく(紐解かれていく?)様は、類似した実際の事件とリンクして、読み手に 文章以上の想像力を与えます。 描写力も素晴らしいですよね。私の中では、各場面の風景や家の間取り等、イメージがハッキリ出来上がりました。 もう少し長編であってもいいですね。内容の深さに対して、ちょっとまとまり過ぎた感もあります。(それだけ面白く感じたということでしょうが) 後読感がスッキリしないところも、個人的には好きです。 「何が幸福で、何が不幸かなんて、他人には理解できない。当人たちも本当のところは、解らないのかも…」 と、考えさせられました。 私の母も読んでいましたが、「これからのあの二人の事が心配だ…」と。 ただ、書店のポスターや帯にある「どこまでも不幸になるためだけに、私たちは一緒にいなくちゃいけない…。」という文章から受ける印象は、恋愛小説っぽくも感じ、本の本質とはちょっとズレているの... | ||
ひとかげ (幻冬舎文庫 よ 2-15)よしもとばなな ¥ 480 通常24時間以内に発送 |
ひとかげ (幻冬舎文庫 よ... | |
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三国志〈3〉 (吉川英治歴史時代文庫)吉川英治 ¥ 798 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
三国志〈3〉 (吉川英治歴... | |
| 呂布の最期が印象的な第三巻ですが、私は陳宮の健気さが大好きです。 どんな策を献じてもまともに実行してもらえず、すぐに取りやめられたりします。 ふてくされたりもしますが、乞われればなんだかんだで嬉しそうに献策してます。 そして曹操との問答のシーン。 饒舌に堂々としていて、潔く格好いいです。 あの曹操と互角だったです間違いなく。 また、暗愚も暗愚な呂布だけど、陳宮はわりと好きだったんだなぁとなんだかグッときます。 そんなデコボココンビにグッとくる3巻です。 そしてそういう目で読むと、陳登・陳珪親子の小賢しさがこの上ないです。 三国志の中で最強の武将、呂布が死に、矢で射られた片目を食べてしまった夏候惇、敗走する劉備にせめてものもてなしをと妻の肉を出す話など、非常に印象的な場面が多い第3巻です。 第3巻で描かれるのは、董卓や呂布の時代を経て、曹操が都の実権をほぼ掌握した時代です。皇帝をないがしろにする曹操に対して危機感を持つ武将たちが打倒曹操の誓いを立て、玄徳も彼らの仲間となります。ところが、曹操暗殺計画が失敗に終り、玄徳もこの一味に加わっていたことを曹操に知られ、逆賊として討伐される身... | ||
三国志〈2〉 (吉川英治歴史時代文庫)吉川英治 ¥ 798 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
三国志〈2〉 (吉川英治歴... | |
| 董卓が死に、曹操、孫策がどんどん強くなっていきます。 三国時代につながっていく序章というところでしょうか。 読めば読むほど先が読みたくなります。 第2巻は黄巾の乱が治まって、その後に実験を握った董卓が暴政を行い、その董卓と他の豪傑たちが戦うという辺りがが描かれています。メインとなっているのは、董卓の家臣である呂布がとんでもなく強いので、董卓と呂布を仲違いさせるべく、貂蝉という美女が二人に色目を使って騙す物語です。この部分は実話ではなく、貂蝉も実在の人物ではないそうなのですが、三国志のひとつのクライマックスと呼んでも良い盛り上がりを見せています。 この巻では玄徳がいまひとつ目立たないのが玉にきずなのですが、曹操、袁術、呂布といったライバルたちの性格が徐々に明らかになって来ていて、今後に対する興味をつなぎます。 若かりし曹操が力をつけていく様が力強い文体で描かれていく。途中、いなごの大群が出てきたりして、そういう不確定要素が歴史の舞台に登場してくるのが面白い。呂布のクーデターにより董卓の暴政に遂に終止符が討たれ、ようやく平安が戻るかと思いきや、戦乱の相がいよいよ深まっていきます。一... | ||
沈まぬ太陽〈4〉会長室篇(上) (新潮文庫)山崎豊子 ¥ 700 通常24時間以内に発送 ★★★★ |
沈まぬ太陽〈4〉会長室篇(... | |
| 会長室編では、御巣鷹山の墜落事故後、組織の建て直しを図るため 首相に請われて国民航空の会長に就任した国見正之を中心として 物語が展開する。恩地は新設された会長室の部長に抜擢される。 国見会長は建て直しの手始めとして分裂している組合の統合を目指す。 整備士や機長など各部門から会社の現状について意見を聞くのだが、 その中で、「自分達の理想像」を熱く語る者はいても、「お客様にとって の理想像」を語る者はいない。 一例を挙げれば、ある機長が、「昨年ソウルで着陸復行をした際、乗り 合わせた大蔵大臣から機長のアナウンスが無かったと指摘された為、 オペレーション・マニュアルがアナウンスをするように改定された。 しかし、安全上、課業順位最下位とも言えるアナウンスを、神経を最も 使う着陸復行、最進入の途中で課すなど考えられない。このように我々 の立場にたって考えてくれない職制である」と憤る。 この機長は、自分達が乗せているのが荷物だとでも思っているのだろうか。 乗客の立場にたって考えてみれば、アナウンスも無く着陸復行をされたら 不安を感じるのは当然である。機長が忙しければパーサーがアナウンス す... | ||
破獄 (新潮文庫)吉村昭 ¥ 580 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
破獄 (新潮文庫) | |
| 個人的には吉村先生のドライで長大な本作よりMONSTERSの簡潔でウェットな白鳥への叙述に心惹かれるのですが・ こんな男が居たということ、人間の恐るべき可能性を信じることができると思います・ 教養もない小男が、世間を心胆寒からしめるその脱獄とは!? 長旅で一人になったときなどぴったりの一冊だと思います青森、秋田、網走、札幌の各刑務所の脱獄に成功した主人公「佐久間清太郎」の頭脳と体力のすごさに驚かされた。このようなことは、映画の世界だけかと思っていたが実際にあったことだとということで、更に驚かされた。本作品を読むきっかけになったのは、12月末に寒冷の網走へと旅行に行った時に、網走監獄博物館を訪れて、本の主人公「佐久間清太郎」の話を聞いて興味をそそられたからである。脱獄を繰り返す主人公「佐久間清太郎」VS看守との戦い。心理作戦など見事に描かれている。単に脱獄の手段や経緯を綴った物ではなく、時代背景を織り交ぜて監獄の施設の状態や囚人の置かれた状況も知ることができる。また、主人公「佐久間清太郎」が最後に服役した府中刑務所で出会った所長の鈴江の民主的な心が通った処遇により主人公が変わる様... | ||
沈まぬ太陽〈5〉会長室篇(下) (新潮文庫)山崎豊子 ¥ 620 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
沈まぬ太陽〈5〉会長室篇(... | |
| 小説として読むと、胸を打たれるものは小さかったが、アメリカに取材にいき、ボーイングから取材を拒否されても 100冊以上の参考資料をもとに書き上げたドキュメンタリーとしては日本の文壇で真似のできる人物は なかなかないように思う。。 ここで終わって行天は?総理は?裏金作りに関係した人間たちは?と読みたいところで終わるので 結末には過度な期待をしないよう読んでほしい。 アフリカをたらいまわしにされて東京に帰ってきたら叩かれて、 恩地が辞めないでいる理由などストーリーには突っ込みどころがありますが 裏金作りなどは、為替の先物取引の知識があれば面白く読める。 「大地の子」に感動した日航職員が筆者のインタビューを受けたという話も聞くし、 純文学出身でこういった長編ドキュメンタリーにとりくむのは難しいのかもしれない。 「国民航空」の広報について。 たとえ経営者が間違った道を選んでも、最後の良心を失わないのが広報マンであるが、 それを失った、いやもともとないのが行天。 地位を得て、家族との関係、愛人との関係がどうかわっていったか、行天の人生に注目して読んでいると 金と地位、女は男のエゴを一時的に... | ||
遠野物語―付・遠野物語拾遺 (角川ソフィア文庫)柳田国男 ¥ 500 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
遠野物語―付・遠野物語拾遺... | |
| 遠野物語と遠野物語拾遺を合わせて299話の短編集、一話平均約400字。 遠野物語は、民間信仰、栄枯盛衰、山中での出来事、妖怪、動物、行事、昔話など素朴な話が集められている。みな懐かしい感じがし、お伽やグリム童話といった説話のような説教じみた堅苦しさはない。話からは間接的に当時の人々の考え方や習俗、道徳観が伝わってくる。古今の文化の変化を考えると興味深い。民俗学の重要な史料となっている事も頷ける。 拾遺は題名のごとく残りの雑多なものという感じである。たとえば、当時(明治から昭和初期)の流説も混じっているようである。今で言う「口裂け女」「ターボじじい・ジャンピングばばあ」「こっくりさん」のようなもの。これはこれで当時の風俗を垣間見たようで面白い。あるいは、「先祖伝来の、開けると目がつぶれる箱、なるものを今の代の主人がどうしても見たくて開けたら、布が入っていただけだった。」という話では、近代化に伴い、未知に対する畏怖の消失が現れている様で興味深い。 1909年(明治42年)から1910年にかけて、当時30代半ばの柳田国男氏が、奥州は遠野の人・佐々木鏡石氏(当時24〜25歳)から聞... | ||
バガボンド 26 (26) (モーニングKC)井上雄彦 吉川英治 ¥ 550 通常24時間以内に発送 ★★★★ |
バガボンド 26 (26)... | |
| まず、一般の人が想像する『宮本武蔵』が存在しないのは事実。史実と違うだの、ありえない戦だの、ただの斬り合いだの、…そこに非難を集中している方とは意見が合いません。確かに史実・現実を気にして読まれる人にはあまりお薦めできません。話の筋もそう進んだ様には感じられず、薄いかも知れません。でも私にはこの巻の『間』がバガボンド全体には必要と感じます。だから評価4。(1下げたのは万人向きではないから。) この巻は武蔵の心情を描くための間ととらえます。70人対1人の戦いでありながら、臨場感を出す音や風景の少なさからある種の緊張を伴う静寂、反して激しく燃える命の奪い合い、「殺し合い」でありながら、時代に遅れ始めた「刀」で答えるある種の実直さを、独特の太い力強い線で描いている。この巻は展開が進むことに重点を置くのではなく、苛烈でありながら静寂な戦の中で武蔵の心と技が、「人に至るまで自然のひとつ、自然に抱かれている」という上泉信綱(秀綱)の至った輪廻に近い境地に少し近づく。しかし今繰り広げている「命の奪い合い」の意味に、過去の自分に疑問を感じはじめる一冊。人間誰もすぐには変われない。変われたとしても何が... | ||